Raspberry Pi Pico オシロスコープ用 アナログ基板 PLU2212-DSO

製品の概要

PLU2212-DSOについて

 PLU2212-DSO(以下 「本機」といいます)は、Raspberry Pi Picoオシロスコープ『Scoppy』対応の拡張基板です。本機を使用することで、入力電圧範囲を最大±30Vに拡大したり、汎用パッシブプローブを接続出来たりと、『Scoppy』をさらにご活用いただけるようになります。

PLU2212-DSOは 販売終了しました。後継の PL2302AFE をご検討ください

なお、本機はオープンソースハードウェアとして回路図を公開しており、改造等につきましても制限を設けておりません。学習や電子工作のお供として、ご自由に活用していただければ幸いです。同時に、オープンソースの理念にのっとり、本機や関連するドキュメント等によって生じるいかなるトラブル・損害・損失等についても、picoLABO は一切の責任を負わないことをご了承ください。

PLU2212-DSO
PLU2212-DSO 外観 ※Raspberry Pi Picoは別途ご用意ください
  • 最大2ch入力に対応(『Scoppy』のアンロックが必要です)
  • 最大入力電圧範囲:±30V(『Scoppy』標準は0~+3.3V)
  • 入力インピーダンス:1MΩ/20pF(一般的なオシロスコープと同等)
  • 8chロジアナ入力端子・シグナルジェネレータ出力端子・DC出力端子を搭載
  • アナログ入力に過電圧保護回路あり
  • 外形95mm x 57mmとコンパクト(基板単体寸法)
  • パッシブプローブを接続可能(BNCコネクタは別途ご用意ください)
  • Raspberry Pi Pico は同梱されていません
  • サンプリングレートが最大250ksps(2ch同時使用時)と低いので注意

『Scoppy』について

『Scoppy』は Raspberry Pi Pico をオシロスコープ化するための AndroidアプリとRaspberry Pi Pico用ファームウェアであり、『fhdm-tech』様より公開されています。トリガ、各種測定、FFT、XY表示などオシロスコープの基本機能のほかに、8chロジックアナライザやシグナルジェネレータ機能などもあります。無料で使用する場合は 広告有り/入力1ch などの制限がありますが、アンロック(数百円ほど)すると 広告無し/入力2ch対応 となります。『Scoppy』のアプリはGoogle Playで、ファームウェアは公式サイトなどから入手できます。『Scoppy』の詳細や使用方法などは以下のリンク先にてご確認ください。

Google Play で手に入れよう

購入前の注意点

 PLU2212-DSOはDIY用途向け製品であり、以下のような注意点があります。ご購入・ご使用される場合は、これらの点をご了解くださいますようお願いいたします

  • 本機によって生ずるいかなるトラブル・損害・損失に対して picoLABO は一切の責任を負いません
  • 本機に関する問合せや連絡を『Scoppy』開発元の 『fhdm-tech』様にしないようお願いします。(逆に『Scoppy』に関するお問い合わせは picoLABOではお受けできません)
  • 発送・配送・初期不良に関するご連絡は、ご購入されたお店までお願いします
  • 本機はDIY向けのため、修理対応や手厚いサポートなどはございません。(初期不良は迅速に対応いたします)
  • 本機は半完成品であり、ご自身での はんだ付け が必要となります。(主な必要部品は同梱されています)
  • 本機は測定器としての品質を保証していないため、正確な測定が必要な用途には使用できません
  • 使用の際に必要となる Raspberry Pi PicoやAndroid端末等は別途ご用意いただく必要があります

製品の詳細

主な仕様

スクロールできます
項目内容
オシロスコープ
 チャネル数最大 2ch
 サンプリングレート1ch単独使用時:最大500ksps/ch
2ch同時使用時:最大250ksps/ch
 入力インピーダンス1MΩ, 約20pF
 絶対最大入力電圧±40V
 入力電圧範囲±30V, ±8V, ±2V
 入力カップリングDC/AC
 測定分解能入力電圧範囲の1/200程度
 端子形状2.54mmピッチ ピンヘッダ(標準)
BNC-J(コネクタは別途必要)
ロジックアナライザ
 入力チャネル数8ch
 サンプリングレート最大25Msps/ch
 入力電圧0~+3.3V ※CMOSロジック
 端子形状2.54mmピッチ ピンヘッダ
テスト信号出力
 出力波形矩形波:100Hz~1.25MHz(0~約3.3V)
正弦波:1kHz(0~約2.8V)
※波形は『Scoppy』で設定します
※矩形波に若干の「波形なまり」があります
 端子形状2.54mmピッチ ピンヘッダ
DC出力
 電圧・電流+5V(max 50mA)
+3.3V(max 20mA) 
※電圧はおおよその値です。
 端子形状2.54mmピッチ ピンヘッダ
その他
 外形97mm x 50mm ※基板のみ
 電源電圧/電流DC+5V/10mA (typ.) ※本機のみ
PLU2212-DSO 主な仕様

回路図・外形

構成品・必要物品

構成品・添付品

  • PLU2212-DSO 基板 1式
  • トリマーコンデンサ 2式
  • SPDTスライドスイッチ 2式
  • DP3Tスライドスイッチ 2式
  • 2.54mmピッチ ピンヘッダ1×20 3式 ※サービス品
  • 2.54mmピッチ ピンソケット1×20 2式 ※サービス品
  • ジャンパー線 4式 ※サービス品
PLU2212-DSO 構成品

別途必要なもの

  • Raspberry Pi Pico
  • Android端末 ※Scoppyアプリが動作するもの
  • OTGアダプタ
  • USBケーブル
  • プローブ用のジャンパー線等

工具ほか

  • ラジオペンチ・ニッパ・カッター等
  • 精密ドライバー(マイナス) ※容量調整用
  • はんだ付け環境 ※本品は有鉛はんだを使用しています

Scoppyのインストールと動作確認

『Scoppy』公式サイトの Installation & Getting Started の手順に従い、『Scoppy』のアプリをAndroid端末に、ファームウェアをRaspberry Pi Picoにそれぞれインストールして動作確認を行ってください。

PLU2212-DSOの組み立て

挿入部品のはんだ付け

以下の部品を本機の部品面(表面)から挿入し、はんだ面(裏面)からはんだ付けしてください。なお、DP3Tスイッチには向きがあるため、取付を間違えると正常に動作しないのでご注意ください。

  1. トリマコンデンサ: TC1, TC2  ※極性なし
  2. SPDTスイッチ: SW1, SW3 ※ どちら向きでもOKです
  3. DP3Tスイッチ: SW2, SW4 ※部品の取付け向きにご注意ください
  4. ピンヘッダ: J1-J4 ※添付のピンヘッダをカッター等で分割してご使用ください
  5. ピンソケット ※Raspberry Pi Picoを直接実装する場合は不要です
DP3Tスイッチの1番ピン位置
DP3Tの取付方向
挿入部品 取付け位置

Raspberry Pi Picoの取付け

『Scoppy』ファームウェアをインストール済みの Raspberry Pi Pico にピンヘッダをはんだ付けし、本機のピンソケットへ下図の方向で挿入します。添付のピンヘッダを使用せずに、Raspberry Pi Picoを直接はんだ付けしたり、丸ピンやロープロファイルのヘッダ等を使用することもできますが、必要な部品は別途ご用意ください。

Raspberry Pi Pico 取付状態

LD1 と LD2

LD1はRaspberry Pi PicoW を使用した時の WiFiステータスインジケータ、LD2はトリガー検出インジケータのLED となっています(詳細はこちら)。LEDは添付されておりませんので、これらを使用される場合はΦ3mmの緑または赤色の高輝度LEDをご用意してはんだ付けしてください。([LD*]のシルク印刷側がカソードとなっています)

組み立て例

『クッションゴム』を貼り付けた例

本機の四隅(取付穴付近)にインシュレータを貼り付けると、部品の保護や短絡保護になります。100均などで「クッションゴム」などの名称で販売されているものなどがおすすめです。

ダイソーのクッションゴム
インシュレータの貼付け例

カードケースに収納した例

 本機の外形は下記の名刺サイズ対応カードケースにピッタリ収まるように設計しています。セリアなど一部の100均やメーカーの通販サイトなどで購入することができます。

メーカー:和泉化成株式会社 品名:カードケース 型番:3139 ※リンク先はSSL非対応のようなのでご注意ください

カードケースに収納

PLU2212-DSOの操作方法

本機では、スライドスイッチによる DC/AC結合 と入力電圧範囲 の切り替え、およびトリマコンデンサ による入力容量調整ができます。それ以外の設定や操作は すべて『Scoppy』側で行えるようになっています。

初期設定と動作確認

 組み立てが終わったら、初期設定と動作確認を行います。Raspberry Pi Picoを搭載した本機とAndroid端末を下図のように接続し、『Scoppy』アプリを起動して以下の手順で行ってください。また、説明はCH1用になっていますが、CH2も使用する場合は同様に設定します。

接続例

入力電圧範囲の設定

 測定電圧が正しくなるよう、標準設定誤差補正 の2段階で入力電圧範囲を設定します。この作業により、本機のアナログフロントエンド回路やRaspberry Pi PicoのADコンバータの特性を直線近似するわけですが、部品の誤差・非直線性・周波数特性・使用環境等の影響により、必ずしも正確な測定値にはならない可能性がある ことをご承知おきください。

入力電圧範囲設定 その1 標準設定

 本機の設計値から算出した、標準的な電圧範囲を仮設定します。標準設定のみでは測定誤差が生じるため、次の誤差補正も合わせて行ってください。

  1. 『Scoppy』画面下部にある 黄色の[CH1]アイコンをタップします
  2. サブメニューが出るので、[Settings]⇒[Voltage Range(s)]と選択します
  3. 各行の[Min. Voltage]と[Max. Voltage]を下図のように設定して、最後にOKをタップします。
入力電圧範囲の設定

入力電圧範囲設定 その2 誤差補正

 部品の誤差等によって生じる 電圧オフセット(0Vのズレ)を補正します。

  1. 『Scoppy』の [Measure] 機能で Vmin(最小電圧)とVmax(最大電圧)を表示します。
  2. 入力電圧を0Vにするため、CH1入力端子とGND端子をジャンパー線などで接続します。
  3. 本機の[Input Range] SWを[±2V] に切替え、『Scoppy』で Vmin と Vmax を測定します。
  4. 測定したVminとVmaxの中間値Vgを算出してメモします。(Vmin = -0.14V, Vmax = -0.10Vなら Vg = -0.12V)。Vg≒0Vであれば補正の必要はありません。
  5. [voltage range(s)] 画面を表示します( 黄色の[CH1]アイコン⇒[Settings]⇒[Voltage Range(s)])
  6. [ 0(Default) ] 行の[Min Voltage] および [Max. Voltage]欄それぞれに、標準設定値からVgを引いた値を入力します。※ Vg = -0.12Vの場合は、Min.Voltage欄に -2.28V (= (-2.40V) – (-0.12V))、Max.Voltage欄に2.64V ( = 2.53V – (-0.12V)) を入力。
  7. [OK]をタップして測定画面に戻り、測定値が0V近くになっていることを確認します。(分解能の関係で0Vピッタリにはならないことが多い)
  8. ③~⑦の作業を [±8V] および [±30V] の [Input Range] に対しても行います。⑥では 設定する電圧レンジに対応する行に入力してください。

入力端子の容量の補正

本機のテスト信号出力 [SG_OUT] 端子を利用して、入力端子の容量補正を行います。この作業は本機の動作確認も兼ねています。なお、本機の仕様により、出力された矩形波にわずかな波形なまりがある(後述)のでご了承ください。

  1. 本機CH1の [AC/DC]切替SWを [DC]、「Input Range」切替SWを[±8V]に切替えます。
  2. 『Scoppy』を[Signal Generator]モードにし、[Signal Type]を[Squre]、[Frequency]を[1kHz]に設定します。
  3. 『Scoppy』を[Oscilloscope]モードにし、各値を下表のように設定して[RUN]します。
  4. 入力端子に接続したジャンパー線や測定用プローブを[SG_OUT]端子の方形波出力ピンに接続すると、1kHzの矩形波が観測できます。
  5. 補正量が適正となるように、PLU2212-DSOのトリマーコンデンサ(TC1またはTC2)をマイナスの精密ドライバー等で調整します。(下図)
項目内容
Horizontal● TIME/DIV : 200[μs/div]
● POSITION: 0 [divs]
Vertical● 補正対象のチャネルを選択(CH1またはCH2)
● VOLTS/DIV: 1 [Volts/Div]
● POSITION: -1 [Volts]
Trigger● 調整対象のチャネルを選択(CH1またはCH2)
● 「AUTO」および「RISING EDGE」を選択
● LEVEL: 1 [Volts]
容量補正時のScoppyの設定
容量補正時の矩形波

その他

ロジックアナライザ機能

 『Scoppy』のロジックアナライザ機能に対応する、8chの[LOGIC INPUT]端子を備えおり、初期設定を行わずに使用できます。なお、こちらの端子は3.3VのCMOSレベルとなっており、それ以上の電圧を加えるとRaspberry Pi Picoが損傷するおそれがあるのでご注意ください。

DC出力機能

 +5Vと+3.3Vの直流電圧が[DC_OUT]端子から出力されています。これらは Raspberry Pi Pico から供給されたものであり、ちょっとした電子回路の電源などにご利用いただけますが、次の点にご注意ください。

  • 過電圧/過電流保護回路は含まれていないので、負荷側にてご対応ください。
  • 電圧はおおよその値であり、接続するAndroid端末やRaspberry Pi Picoの特性により変動することがあります。
  • Raspberry Pi Picoの仕様に従います。

テスト信号出力機能

 前述の入力端子の容量補正や動作確認用のテスト信号として、『Scoppy』の Signal Genarator 機能で生成される100Hz~1.25MHzの矩形波、または1kHz正弦波が[SG_OUT]端子から出力されています。なお、正弦波出力用フィルタ回路の影響により、矩形波出力に下図のような「波形なまり」がありますが、本機の仕様であるためご了承ください。

矩形波出力信号の波形なまり例

パッシブプローブを使用する

 CN1およびCN2にBNCコネクタ(別途ご用意ください)を 取り付けると、パッシブプローブを接続できるようになります。取付可能なBNCコネクタの例を以下に示します。

秋月電子通商  BNCコネクタ(BNC-J基板取付型横向き) 通販コード C-00134

減衰量(「x1」や「x10」など)の切り替えは、プローブ側のスイッチとともに、『Scoppy』アプリ側の設定( 下部の[CH1]or[CH2]の黄色いアイコン⇒[Settings]⇒[Probe])も変更する必要があります。なお、ケガや機器損傷の可能性がありますので、本機の絶対最大定格や電気の一般的な取り扱い手順を守りつつ適切にお使いください。

with BNC Connector

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